【Chef's advice】〈第4回〉平瀬祥子パティシエの教えるアーティスティックな盛り付けアドバイス
おいしい料理は、素材が大切。と、言いますが、食のプロにとっても、素材は重要。
その素材は生産者さんが大切に育ててこそ。
食のプロがお気に入りであり、とても大切にされている生産者さんのお話を今月はご紹介していきます。
6月後半は、平瀬祥子パティシエです。
「薔薇がアートになる」
テーマは「薔薇」
皆さんは、バラのデザートを召し上がったことはありますか?
お花としての香しい薔薇、香水やアロマセラピーで使われるローズの香り。
女性にとって薔薇は、幸せな気持ちにしてくれる存在ですね。
その薔薇をつかって、アートのようなデザートをつくられている
平瀬パティシエ。
平瀬パティシエのつくるデザートの相棒といってもよいくらいの「おいしい薔薇」をつくっている生産者さんは、平塚の横田さん。
横田さんとの出会いは、10年くらい前。
薔薇は、無農薬、無肥料。
10年くらい前に、平瀬さんが、現在いらっしゃるレストランローブがオープンする前に
レストランローブのオーナーである今橋シェフが、当時鎌倉で野菜をつくっていた時期がある。
その時にお世話になっていた農家さんのご紹介で、横田さんと出会ったのだそう。
横田さんの薔薇農園に行く前は、薔薇の精油(エッセンシャルオイル)や、香料のイメージが強くて、果たしてデザートにお花は使えるのだろうかと思っていたと言います。
そこは、ヨーロッパのお花屋さんの香りだった。
横田さんの農園に入ってみてびっくり。
まず、香り。平瀬パティシエは、ヨーロッパでも働いていた経験があり、
そのときに、ヨーロッパの花屋さんの香りがすると思った。
薔薇は好きな花だし、この薔薇で食べた人が幸せな気持ちになるような
デザートがつくってみたいなと思った
と言います。
最初につくったのは、薔薇とビーツをあわせたデザート。
なぜ、薔薇とビーツをあわせようと思ったのですか?
と、質問すると、
薔薇の隣の畑で、横田さんがビーツを育てていたんです
ブルゴーニュやボルドーのブドウ畑では、ブドウの樹々の間に
薔薇の花を植えているところを見たことがあります。
ブドウがいい香りに包まれて幸せな気持ちで育つと
おいしいブドウができるんだよと、ワイナリーの方に伺った
ことがありますが、
ビーツも薔薇の香りを包まれながら育ったと思うと、香りがよさそうです。
花びらの香り、味は色によって違う!
薔薇の花びらの味を伺ってみると、
花びらと近い色のフルーツの味がしますよ
とのお答え。
白い花はライチ、ピンクは、ベリーや桃、紫は、ブルーベリー、オレンジは
オレンジやマンゴーなどの味がするので、同じ香りや味の系統の
くだものとあわせることが多いです。
写真は、薔薇のアイスクリームをつくっているところ。
アイスクリームの時は、いろいろな色の薔薇を組み合わせてつくることもあるとか。
ここでいくつか、平瀬パティシエのデザートをご紹介しましょう。
実は、この2皿、どちらとも「桃×薔薇×赤紫蘇」の組み合わせ。
1枚目は、桃のコンポートの中に、薔薇のアイスクリームが入った桃のファルシ。
2枚目は、フレッシュな桃をつかった桃のソースと、薔薇のアイスクリームを
組み合わせた一品。
どちらもアクセントに赤紫蘇をプラスされています。
お皿の上は、もうアートそのもの。
こちらの一品は、冬のデザート。
レクチェという洋梨のバニラコンポートに
ジャスミンの香りのメレンゲ。シトラスの香りに
薔薇のアイスクリームの組み合わせ。
11月~12月の薔薇は。香りがとてもよいのですよ
その香りのよい薔薇を中心に、バニラ、ジャスミン、シトラス。
香水をイメージした香りのデザートだそう。
横田さんの薔薇は、6月から12月くらいまでは、入荷が可能なので、
このあとも薔薇のデザートはお目見えしそうです。
平瀬パティシエの美しく、香り良く、そしておいしいデザートへの
探求は、横田さんという頼もしい生産者さんとともに、まだまだ続きそうです。
7月からは、4月に新しくオープンした
平瀬パティシエのアトリエともいえる、
石川県 金沢市のパティスリーローブ花鏡庵でも、薔薇のお菓子がお目見えする予定も
あるそうです。
https://www.instagram.com/hirase_shoko/
https://www.instagram.com/patisserie_laube/
写真だけではなく、ぜひ一度レストランローブ、パティスリーローブ花鏡庵で
アートのようなデザート、召し上がってみてください。
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デザートは見た目も大切。
見た目がきれいに、おいしそうに見える
お皿に盛り付ける時のコツをお聞きしました。
「どこか1カ所を高く置いて、そこから流れるような
感じで盛り付けると見栄えがしますよ。
そして、お皿は、全体を使うより、使わないスペース(余白)を
あえてつくることでバランスが良くなると思います」
いつものプリン、いつものケーキも盛り付け方で
素敵なデザートに変身しそうですね!
ぜひ、おうちでも試してみてください
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〈文・小池美枝〉