〈第三回〉おいしい牛肉は、血統7割!

食のプロならではの視点、プロがみつける食の素敵
Chef’s アドバイス


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今月のテーマ 「大切な生産者さん」

おいしい料理は、素材が大切。と、言いますが、食のプロにとっても、素材は重要。
その素材は生産者さんが大切に育ててこそ。
食のプロがお気に入りであり、とても大切にされている生産者さんのお話を今月はご紹介していきます。

 

6月のトップバッターは、大森雄哉シェフ

 

テーマは「高千穂牛」

 

高千穂は、宮崎県の北部、自然がとても美しく、また神話の町としても有名な観光地。

高千穂といえば「天孫降臨」。日本神話の一場面で、高天原(たかまがはら=天界)にいた神々の中から天照大神(アマテラスオオミカミ)の孫(=天孫)である瓊瓊杵命(ニニギノミコト)たち一行が地上に降り立ち、その地を「高千穂」と名付けたという伝説「天孫降臨」の町としても有名なところなので、旅行で行かれた方も多いのではないでしょうか。

 

その自然豊かな土地で、すくすくと育ったのが、「高千穂牛」

大森シェフの一番お気にいりの牛肉が、高千穂牛と言います。

 

出会いは、15年前。

とにかく脂が甘くて、美味い。

 

仕事柄、いろいろな産地の牛肉を食べ、料理もしてきたシェフが、

一番好きだという高千穂牛は、不飽和脂肪酸を多く含み、体温で溶けるくらい

融点が低く、脂が甘いのが特徴だそう。

 

こおろぎさんが、一番好き。

 

その中でも、長くおつきあいしている、とても大好きな生産者さんは、

こおろぎさん(漢字で書くと、興梠さんと書き、高千穂に多い苗字だそうです)。

興梠さんは、出産から肥育まで、長年牛を育ててこられてきていますが、

中でも、霜降り度合いが歴代で1位になったエース級の牛「神照栄」を

育てています。

 

興梠さんと、大森シェフ

 

 

おいしい牛肉は、血統で7割くらい決まると言われています。

だから、いい雄牛を育てることはとても重要なんですよ

 と、大森シェフ。

 

さらに、興梠さんは、牛を出産時から育てている数少ない生産者さんだそうです。

通常は、仔牛から育てる農家さんが多いそうです。

 

そして、牛も人と同じ、10ケ月と、10日、お母さん(牛)のお腹で育って、無事生まれてきて、そこから出荷までの約28ケ月、大切に、大切に育てています。

 

 

 おいしくなーれと、マッサージも欠かせない

 お肉になったときに、きれいに霜降りが入るように、育てる時に牛をあまり動かさないのだそうです。

でも、動かないと下半身の血流が悪くなって、その部分だけ血行が悪くなり

肉が硬くなるそうです。

また、おしりの辺りの尿酸値も高くなるため、足の方から、上に向かって

マッサージをするのだそう。

 

 

「自分の子のように大切に育てた牛たちを手放すときは、

やはり毎回寂しいね」という興梠さんの言葉を胸に、

大森シェフは、

料理人として、一番おいしく召し上がってもらえるよう

心を込めて料理をしたい。

そうしたら、牛たちも生まれてきてよかったなって思ってもらえるかな。

 

興梠さんの牛は、年間で80頭くらい育てて20頭くらいしか出荷されないので、

地元ではなかなかお目にかかれないそう。

 そんな貴重なお肉で、特別に2品作っていただきました。

 

“ 高千穂牛イチボロースト 高千穂の山菜と照り焼きソース“

 

 

“高千穂牛のタルタル 夏草のコンテチーズと生姜”

 

 

 

霜降りの部分だけでなく、筋、内臓、テールなど、

どの部位も本当においしい

 

高千穂牛と出会って15年のシェフは、今もなお、高千穂牛に魅せられているようです。

大森シェフの高千穂牛、一度食べてみたいと思いませんか?

 

------------------------------- 今回のPOINT -----------------------------------

最後に、皆さんにアドバイス。

牛肉をおうちでも、おいしく料理するコツを教えていただきました。

 

弱火でじっくり焼いてください

強火でカリっと、中は赤く焼くと、脂が酸化して、お肉も硬くなってしまいます

弱い火で、じっくり焼くことで、牛の脂がじわーっとでてきます。

その脂で焼くと、芯温まできちんとあたたまり、柔らかく、おいしくいただけますよ。

 

高千穂牛はなかなかお目にかかれないけれど、

生産者さんが大切に育てたおいしい牛肉。

ぜひ、おいしく料理してみてくださいね。

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〈文・小池美枝〉