【Chef's advice】〈第2回〉お野菜の選び方〖いびつな奴〗は味がある⁉
食のプロならではの視点、プロがみつける食の素敵
Chef’s アドバイス
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2回目は、パリから中山豊光シェフが、野菜の選び方のアドバイスをくださいます!
Restaurant TOYO のオーナーシェフで、東京にもRestaurant TOYO Tokyoを出店されている中山シェフ。ほぼ毎日自らマルシェに足を運び、食材を選ぶとおっしゃっています。
いびつな奴は、味がある
毎日マルシェに行かれて野菜を選ぶということは、
メニューが先に決まっていて、その野菜を探しますか?
と、お聞きしたところ、ほとんどが「食材ありき」との答え。
だいたいは、考えていくけれど、マルシェに行ってみて
あーいい奴だなあと思ったら、その食材が一番引き立つような
献立にします。
1つの野菜が、主役にも、脇役にもなる。
例えば、かぶ。
皮も使えるようだったら、かぶが主役のお料理になるし、
皮が硬かったら、かぶは脇役になると、言います。
そんな風に、毎日毎日マルシェに通い、食材に向き合うシェフ。
その食材にとって、一番おいしく料理する食材に対する愛情と、
一番おいしい状態の食材を召し上がっていただきたいお客様に対する
愛情を感じます。
プロでなければ、あれこれ献立は思いつかないかもしれませんが、
でも、考え方によっては、どんな野菜もおいしくいただけるということだと思いますので、
ぜひ食材そのものを楽しむ料理をつくってみてください。
中山シェフに、どんな野菜を選ぶことが多いですか?
と、お聞きしたところパリらしい答え。
いびつな奴と、間引き菜が好き。
パリでは、間引き菜の方が高いこともありますよ
と言います。
日本だと、いびつな野菜は、ともするとB級品や訳あり品になってしまうような
野菜ですが、いびつな野菜はおいしいのだとか。
また、間引き菜も、スーパーではなかなかお目にかかれませんが、
農家さん直送や、道の駅のようなところではよく見かけます。
これも、いろいろな葉の味があって、いい料理ができると言います。
最近は、家庭菜園や畑を借りて野菜をつくるかたも増えていると
思いますが、ぜひ「間引き菜」おいしくいただいてください。
アンさんの野菜がお気に入り
中山シェフに、お気に入りの野菜の作り手さんは、いらっしゃいますか?
と、お聞きしたところ、アンさんの野菜との答え。
アンさんは、日本人女性だそうで、フランスのロワール地方でおいしい野菜を
作っていらっしゃいます。
ロワール地方は、パリから車で1-2時間の、自然豊かな、またワインの産地の一つでもあり、古城や渓谷の旅でも人気のあるエリア。
元々アンさんは、なんと同時通訳のお仕事をされていたそう。
アンさんから届く野菜は、週1回。
毎回どんな野菜がくるかはお楽しみだそうですが、どれも本当においしいのだそう。
そこでもまたシェフのインスピレーションが刺激されているようです。
作り手さんから届くお野菜は、新鮮でおいしい野菜とともに、
その季節が届けられるところもいいですね。
日本とパリの野菜の違いはありますか?
と、お聞きしたところ、
最近はフランス、イタリアの野菜は日本の野菜に近くなっていると
おっしゃいます。
どんなところが?
例えば、なす。
昔のフランスのなすは、アクや種が多かった。
だから、くたくたに煮て、茄子のキャビア風やグラタンのような
料理が多かったけれど、最近は焼きなすができそうな
みずみずしいなすも増えていますよ。
その土地の風土に合った野菜が採れ、その野菜に合った料理ができる。
とても興味深いお話です。
でも、最近は世界共通に健康志向なのでしょうか。シンプルに食べられるように
野菜そのものが改良されてきているようですし、日本のおいしい野菜は
世界に誇れるものともいえるかもしれませんね。
------------------------------- 今回のPOINT -----------------------------------
最後に、おいしい根菜の選び方をお聞きしました。
葉物や実物は、見た目でわかりやすいですが、根菜は、
例えば、大根1本買ってみたら、中に水分があまりなく
スが入っていたとかありますね。
中山シェフからは、
根菜は葉っぱがついているならば
葉っぱがみずみずしいものをとのアドバイス。
葉っぱがみずみずしければ、根菜の中も水分がきちんといきわたっている
おいしいものが多いそうです。
でも、買ってきたら、すぐに葉っぱを切り落として、別に保存してくださいね。
これからの季節、トマト、きゅうり、ズッキーニなど夏野菜も
たくさん出回ってきます。夏野菜は、獲れたてがそのまま食べられる野菜も多いので、
ぜひお近くにマルシェがある地域の方は、マルシェや農家さんの市場などで
朝採れ野菜を楽しんでください。
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〈文・小池美枝〉