【Chef's advice】〈第8回〉特別編「熊本での1日限りの素敵なレストラン~“もったいなかレストラン”」

 

今回は、特別編。「熊本での1日限りの素敵なレストラン~“もったいなかレストラン”のお話」

8月、パリから中山シェフが日本に里帰り。

中山シェフのふるさと、熊本で素敵なイベントが開催されたので

お話を伺いました。

1日限りのレストラン、もったいなかレストラン。

もったいなか・・・熊本の言葉で、もったいない。

天候の影響などで、市場にだせない、廃棄せざるを得ないけれど、でもおいしい、

もったいない食材を最高の料理にしよう!というスローガンのもと企画されました。

ところは、熊本「神水茶寮」にて、819日に開催されました。

  

 中山シェフを中心に、chef’sアドバイスの大森シェフ、平瀬パティシエも参加!

 実は3人とも熊本出身。他に、熊本で活躍されているシェフやパティシエの方々、

合わせて14名の食のプロが集結した素敵な食のイベント。

将来のシェフやパティシエを目指す学生さんたちがタッグを組み、

熊本のおいしいもんを、地元熊本の方たちが堪能されました。

何より、おいしいものは人を幸せにするという同じ想いで、日頃お料理を作られている

シェフたちは、お互いとても刺激になり、わくわくし、だからこそ一致団結した

素晴らしい料理ができあがりました。

おいしい食材と、作る人の幸せが、食べる人の幸せをつくる。そんな素敵な伝播。

 

昼、夜各50名様というとても大きな宴。シェフも学生さんたちも

みんなで準備。

 

お一人お一人に用意された扇子には、黙食ではなく、

扇子を通してお話しながら楽しく食べましょう・・・という想いも込められているとか・・・。

 

当日の食材は、もったいない食材を県内の農家さんからできるかぎり買取りして使用。

食材をつくる人、料理をつくる人が一体となったイベントは、熊本から食を通した

SDG’sの発信でもあり、

熊本の料理家である、相藤春陽さんがプロデュースされました。

 

ここで、当日の献立をこっそりご紹介。

  1. 熊本の玉手箱 Amuse ALL Stars

参加されたシェフたちの料理が凝縮された前菜の一皿。

  • 天草晩柑とフェタチーズ(中山シェフ)
  • 熊本のお米のサラダ(大森シェフ)
  • 天草大王レバーのパテ(松田シェフ…熊本)
  • 天草御所浦鯛ハム(村田シェフ…熊本)
  • 宇城いちじくのロースト(藤島シェフ…熊本)
  • 芦北石えびと植木のじゃがいもの饅頭仕立て(落合シェフ…熊本)
  • 戸馳島猪のマカロン(北川シェフ…熊本)
  • 宇土舞姫トマトのガスパチョ(田尻シェフ…熊本)

 

  1. 熊本八菜とアンチョビソース

熊本の夏野菜を10品に、2種のソースと風味豊かなオイルのマリアージュ

 

  1. 天草御所浦とらふぐ ミモレットチーズ

 

ふんわり削ったミモレットチーズと、ミディアムレアなフグ。深刻な赤潮被害の

でている海域でもあり、生産者さんのご心労はとても大きいのだとか。

  

  1. 大矢野黄金ハモ 夏野菜

水前寺菜の下には、黄金ハモと揚げ野菜。

 

  1. グラニテ(お口直し) 摘果不知火

大量に摘果される不知火を活用。酸味やえぐみも含めておいしいグラニテに。

  

  1. 阿蘇産 あか牛 灰をつかった塩釜焼

あか牛を昆布で巻き、薪炭を練りこんだ塩釜でロースト。

黒文字の枝を添えて、香りよい塩釜に。

 

 

  1. 熊本海山カレー

この日、使われた海のもの、山のものが出汁として凝縮された

贅沢なカレー。

 

  1. デザート 宇城キャンベル御屠蘇

昔懐かしいキャンベル種のブドウと、熊本の郷土酒「赤酒」と、熟成された屠蘇散を組み合わせたふくよかな香りのデザート。

 

  1. ミニャルディーズ(食後の小菓子)

人吉球磨 山江栗アイス

三角 黒糖ガナッシュ

 

中山シェフ、大森シェフを筆頭に、熊本のシェフたちが力をあわせて、

つくったもったいない食材の最高の料理の数々…。

どのお料理も、熊本のおいしいもん。熊本出身の皆さんだからこそわかる

おいしい食べ方でもあり、これぞまさに地産地消。

食べる人の笑顔もさることながら、食材たちもおいしくつくってくれて

うれしい❤そんな表情がお皿から伝わってきます。

 

当日は、バーテンダーの方も参加。お料理の合間に、オリジナルのカクテルが

サーブされ、食後のコーヒーやお菓子に至るまで、こだわりのメニューが揃いました。

こだわりは、パンにも。玉名産小麦と有精卵でつくったブリオッシュ、菊地産有機小麦 ふすま入りカンパーニュ、玉名産新麦 八代産酒米白糠 フォカッチャが、お料理を引き立てました。

また、お食事の前には、お点前の時間も。

  

 

 

お土産には、平瀬パティシエの焼き菓子も。

天草晩柑、人参屠蘇、グリーンシナモン、宇土牛蒡など、熊本食材を使用した

お酒に合うようにつくられた塩味のクッキーだそうです。

 

イベントがおわって、大森シェフに取材させていただきました。

今回のお料理はどうやって決められたんですか?とお聞きすると、

 

全体の構成は中山シェフが仕切って、あとはみんなで話して決めました。

今回は、料理人だけでなく、パティシエ、バーテンダーも集まって

飲み物やデザートに至るまで、みんなで考えて、

さらに当日は料理学校と専門学校の生徒さんも参加。

お手伝いということだけではなく、実際のお料理の盛り付けなどにも参加したんです。

 

中山シェフ(上)と、大森シェフ(下)

 

学生さんたちにとっては、雲の上の存在である皆さまと過ごす時間は

きっと将来皆さんがプロとして活躍されるときのいいきっかけにも

なったのではないでしょうか。

 

今回、故郷熊本で集まったシェフたち。

普段から交流されているのですか?

 

いえいえ、実は今回はじめて会う方ばかりで・・・。

でも、同じ想いをもった人たち、すぐに心が通って

お互い刺激を受けて、とても楽しい時間でした。

これをきっかけに、今後の交流が楽しみです。

来年以降も、続きそうですか?

 

はい。目標10年!

今回参加した学生さんたちが、一人前になるころまで

続いたらいいなあ。食材もそうだけれど、もっと大切なのは人。

「おいしいものは人を幸せにする」という想いをもった料理人たちの

リレーが未来まで続く、そのことこそ大切なSDG‘sなんじゃないかなと思います。

あとは、違う季節でもやってみたいですねぇ。季節によってかわる旬の食材で

季節ごとにつくってみたい。

 

そうおっしゃった大森シェフの瞳は、きらきらとしていました。

中山シェフ、大森シェフ、平瀬パティシエ。

お疲れ様でした!素敵なイベントをありがとうございました。

 

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今回のイベントに参加されたシェフの皆様のご紹介です。

◇フランス食堂 ル・ブリアン 藤島将輝様

◇イタリア料理 トレ・ステッレ 田尻卓也様

◇シャルキュティエ ピカソ 松田悠佑様

gingila    落合麻希子様

◇ふく成  村田巧様

◇パンダイゴ 上道大吾様

       森永三奈様

◇メゾン・ド・キタガワ 北川博喜様

DOBLE K  馬場加奈子様

HARU lab. 相藤春陽様

◇茶席 好信楽岳間茶寮 茶師  戸川裕章様

◇ペアリングカクテル 夜香木 バーテンダー  木場進哉様

◇珈琲サロン 日本珈琲文化学会理事  佐野俊郎様

◇廣石社中の皆様

 

皆様お揃いで、記念すべき第1回の記念写真!

  

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〈文・小池美枝〉