【Chef's advice】〈第20回〉平瀬祥子パティシエ〈日本酒を楽しむテイスティングサブレ〉 新作秘話のご紹介


お届けしています「シェフ直伝。お鍋ひとつできる、簡単レシピ」ですが、

今回は、ちょっとテーマから離れまして「平瀬パティシエの新作秘話」をご紹介します。

なかなかお聞きできない、新しい作品ができるまでの

興味深いお話をお聞きしましたので、お楽しみに❤

 

新しい作品は、「日本酒を楽しむテイスティングサブレ」

ワインやシャンパーニュを楽しむクッキーやサブレはありますが

日本酒とサブレ。

その意外な組み合わせをつくってしまう平瀬パティシエのアート感覚や、

クリエイティビティにびっくりですよ。

 

早速、ご紹介します!

 

平瀬パティシエに、最近の新作は何かありますか?

と、お聞きしたところ

おもしろいテーマのお菓子をつくったんですよ

 

と、いきなり興味津々のお言葉。

 

金沢の日本酒の酒蔵さんが、日本酒を楽しむためのサブレをつくってほしいという

お話があって、つくってみたのがこちらです。

日本酒は飲むのは好きなんですが、日本酒にあわせるデザートやスイーツというと

さて、どんな風味や食材が合うんだろう?と思って、

私のレストランのソムリエに相談もしました。

 

まずは、柱になる味を決めていったんですね?

 

そうです。

塩気、発酵の香り、柑橘の香り。

この3つを味の柱にしようと思いました。

 

先に、完成したサブレをご紹介したいと思います。

 

上段左から

セップ茸(フランスのきのこ)、いしるとイカ墨、のどぐろ、加賀棒茶

二段目左から

金沢味噌、チーズ、酒粕

下段左から

オリーブ、のどぐろ、いしるとイカ墨、柚子

 

の、合計9種。

加賀棒茶と、柚子が甘いサブレで、あとは塩味のきいたサブレだそうです。

 

いしる&イカ墨と、のどぐろって、難しい味ですよね?

 

と、お聞きすると

 

意外と、この2つは素材それぞれに塩気があったので、

すんなり味が決まりました。

素材そのものの塩気に、能登塩を合わせました。

 

そう伺うと、なんだかすでに日本酒に合いそうです。

 

その塩ですが、セップ茸や、チーズにはゲランドの塩をつかったり

塩の産地にもこだわりました。

他にこだわったところはなんですか?

と、お聞きすると

 

「粉と甘み」とのお答え。

 

何種類かの薄力粉、米粉と、それぞれの味が一番引き立つ

粉選びにもこだわりました。

 

同じ素材で粉違いで何度も試作してどれがおいしいか。

 

甘みも、塩気のサブレと言っても、必ず砂糖はいれるので

どれくらいの割合がよいのか、これもかなりいろいろ試作しました

だいたい、どれくらいの期間試作されたのですか?

とお聞きすると、

 

1ケ月。

サブレとしての味の完成度を考えつつ、

テーマが「日本酒を楽しむためのサブレ」なので、

日本酒とあわせてどうか。

 

単品で80%くらいの完成度につくったんですよ。

 

それで、日本酒とあわせると100%になるように。

日本酒と合わせたときに、その日本酒から、隠し味が引き出される感じ。

サブレだけを食べると、何が入っているかちょっとわからない部分が

日本酒を飲みながら食べると、その隠れていた隠し味が

口の中でよみがえる。そんな感じです。

 

あっ、あと温度感も大切。

サブレをちょっとあたためて召し上がっていただくと、さらにおいしいですよ。

 

食べたときの食後感や、食べる前の香りや見た目というところを

さらに超越して、立体的な味ができあがっている。

そんな感じは、五感のアートとでもいうのでしょうか。

 

それぞれの素材の特性や、性質を知り尽くしていないと

ここまではできないですね。

まさに職人技。

 

ちなみに、こちら販売しているんですか?

と、お聞きすると

 

ちょうど20日から販売スタートしたんです

 

とタイムリー。

12㎝角の紺色の缶にきれいにおさまっている9種類のサブレは、

13,600円。

金沢の花鏡庵のみの販売だけれど、オンラインでの販売も計画しているのだとか。

さらに素敵な缶も企画しているそうですよ❤

おいしい日本酒と、このサブレをもって桜の下でお花見。

そんな風景が浮かんできます。

金沢に来られることがあったら、ぜひこのサブレ、召し上がってみてください。

 

と、平瀬パティシエ

 オンラインショップも待ち遠しいですね。

 to be continued…

次回もお楽しみに!

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〈文・小池美枝〉