中山豊光の TOYO TABI #002コルシカ島


こんにちは。中山豊光です。

前回のTOYO TABIいかがでしたか?
旅はいいですよね。
おいしいものもいいですよね。
今回も僕の旅の話、おつきあいください。


ここ↑、どこだかわかりますか?

島。
そう、島です。

コルシカ島です。
フランス領で、イタリア半島の西側にあって、フランスではコルスと呼ばれることが多いです。大きさは、広島県くらい。地中海では、シチリア島、サルディニア島、キプロス島に次いで4番目に大きい島です。


今回の旅は、実は20年くらい前にいった旅なんですが、船旅だったんです。
ずっと船。
最初の写真に小さな赤いペンで「」がついているんですが、コルシカ島のあちこちに寄港しながら楽しむ船旅の「シェフ」として乗船しました。
10日間くらいだったと思います。



当時、僕は世界的なデザイナーの高田賢三さんのプライベートシェフをしていて、賢三さんと、その仲間たちとの旅の食事を担当しました。

まず、ニースからコルシカ島に海路で向かいます。
24mくらいの大きなヨットで、賢三さんとキャプテン、仲間は10人くらい。



僕はシェフとしてなので、一番は毎日何を食べていただくかを考える。
10日間×3食となると、30食でしょ?
当然、最初に食材は全部つめないんですよ。
ですので、寄港するたびに、買い出しに走る(笑)

冗談でなく、本当に走るんですよ。
しかも、寄港時間はそんなに長くないので、その間に何が買えるのか?
さらに、寄港地にスーパーがあるのか、市場があるのか、
何が売っているのかもわからないから、事前に献立を決めるわけにもいかないんです。

だいたいこんな感じ。
それくらいで、買い出しにいって、港についたら、ボートで僕だけ港につけてもらう。
そして、とにかく寄港したところの地元の人に聞いて走る。
当時は、まだGPSとか、携帯とかないから事前情報がないんですよ。

あっ、これあった。
あっ、これ買っておこうかな。
これは使うかもしれないな。
あっ、もう時間。戻らなきゃ。

こんな風です。

そして、ヨットに戻ったら、すぐ仕込み。
なぜなら、ヨットが動き出したら、火はつかえないんです。
だから港を出るまでに、おおよそのものはつくっておいて、
出発したら、さあ乾杯!って、できるように。

しかもね、毎日同じような料理では飽きてしまうから
いろいろなジャンルのものをつくりましたよ。









冷蔵庫もないし、ヨットが出たらすぐごはんみたいな感じだから
時間との闘い。
例えば、ブイヤベース。
魚介類を炒めて、濾しておくまでをヨットが港を出るまでにしておくの。
でないと、魚が傷んでしまうし、動き始めたら火が使えないから。







あとは、次の食事で同じブイヤベースは出せないから、
そのブイヤベースを違うものに展開させる。
ブイヤベースをつかって、カレーにするとか。
さらに、ゲストの皆さんはいろいろな国の方がいらっしゃるので、
料理のバリエーションは結構あったと思います。



そうそう、その時に発見したことがあってね。
食べる土地と食材の相性ってあるんだなって思いました。

パリではおいしいと思うものが、地中海ではおいしく感じないとか。
意外においしいなって思ったのが、たこ焼きとかお好み焼き。
ソースの味が地中海に合うなって。

お酒も日本酒は重く感じました。
ワインもパリでほとんど飲まないロゼがおいしい。
これは発見でしょ?

ここで、ちょっとしたアクシデントの話。



この写真の足。僕の足なんですが、
港から買い物に行くときに、うっかりウニを踏んでしまったんですよ。
ウニのとげが刺さってしまって、しかも病院とか立ち寄る時間もないのでそのままにしておいたら、足が地面につけなくなったの。
足を地面につくと痛くて立てないから、足をいつも横にして買い物に行っていました。

どんな風に歩いたかって?
とにかく買い出ししなきゃって思っていたから、覚えてないんですけどね。

あとは、途中で嵐にもあったんですよ。
さっき書いたように、大きなヨットなので、陸に行くにはボートに乗って降りなきゃならないので、嵐だと降りられない。
乗り切るしかない!どんなときでもお腹は空くでしょ?
だから、嵐でヨットが揺れてもなにしても、ごはんは作らなきゃならない。
船酔いしながら作った日もありましたよ。

お天気がよいと、こんな風に絶景がみられます。



この魚たちの群れ、潜らなくてもヨットの甲板の上から見られるんですよ。



今回、なぜこんな昔の旅のご紹介をしたかというと、
今月は、賢三さんの命日なんですよ。
それでふっと思い出したんです。

賢三さんとの思い出をいくつか書いてみようかな。

とにかく、思いついたらすぐ行動したい人でした。
夕日をみるよ!朝日をみるよ!って。僕が何か他のことをしていても、
みるよ!って。



ある日、イルカをみたいって。
イルカをみつけたら、さあ、飛び込むぞって。
僕としては、本当は料理のことを考えていたいわけです。
だって、きっとイルカをみて帰ってきたら、すぐご飯食べよう!って言うから。
帰ってきたら、すぐご飯ができると思っているの(笑)

未だに、その夢見るときありますよ。
ご飯はまだかって。


だから、普段パリにいるときも、賢三さんの予定をさぐっておくの。
いつ休むんだろうって。
基本的に、絶対に1日寝ていることはしない人でした。
絵を描いたり、数独したり、運動したり・・・。
だから、僕の休みもあんまりなかったかな。

でもね。
僕は賢三さんが大好きでした。
好きなところは、
ウソをつかない。
ご自身の自慢を決してしない。
いつも楽しい話しかしない。

本当に素敵な人でした。
賢三さんも旅がとてもお好きな人でした。



コルシカ島の船旅、いかがでしたか?

来月は、僕のレストランにいるシェフがコンクールに出るので
応援にイタリアに行くんです。
その旅レポしたいなって思っています。

おいしいものを求めて、 TOYO TABIは続く・・・