中山豊光の TOYO TABI #003ミラノ


こんにちは。中山豊光です。

前回のTOYO TABIいかがでしたか?
旅はいいですよね。
おいしいものもいいですよね。
今回も僕の旅の話、おつきあいください。

 

10月の初旬にミラノにいってきました。

僕のレストランで一緒に働いているYi(イー)さんが、コンクールにでるので応援です。

今回のコンクールは、
イタリアのミネラルウォーターブランド「サンペレグリノ」が主催の
サンペリグリノ ヤングシェフ アカデミー国際料理コンクール 2022-2023決勝大会です。

世界中から集まった屈指の若手シェフたちが、2年間にもわたって料理を競ってきて、そのファイナリストを決める大会。

2日間で行われる決勝大会は、「bring your future to the table(あなたの未来を食卓に)」というコンセプトで、美食界で影響力のある人たちが集まって、食を通じてポジティブな変化を社会に投じよう」というイベントでした。

2年間で、最終的に15人で優勝者を競うんですが、
Yiさんは、アジア代表が2人参加するうちの1人に選ばれての参加。
世界で15人のうちの1人って、すごいですよね。
https://kyodonewsprwire.jp/release/202310181294

2日間、審査員のいるところで、いろいろな料理をつくって、
独自の技術力や、創造性、ビジョン、自身の夢などを表現する。
料理をつくるだけでなく、個としての表現力や、料理を通して人々につたえたいこと、「表現者」としても審査の対象になります。

結果は・・・。
残念ながら、Yiさんは優勝はできなかった。
世界の15人に残るだけでも、すごいことだし、何より決勝大会に出たことの経験は、とてもいい経験になったと思っています。

ただ、彼女は、かなり落ち込んでいて、
僕はとにかくおいしいものを食べようといろいろとミラノの街を歩きました。
そこで1軒の、抜群においしいお店をみつけたんです!


それがここ。↑


ミラノにはたくさんのおいしいレストランがあると思いますが、僕は、ここに魅了されてしまって、実は毎日ここに通ってしまいました。
料理は、こんな感じです。



このお店、写真のおじいちゃんと奥様のおばあちゃんが、たった2人でやっているの。
おじいちゃんが料理つくって、おばあちゃんがサービスをする。

でも、14~16席くらいはあるかな。ランチとディナーあわせたら、30席以上分の料理をおじいちゃんひとりでつくってるの。



どれもサイコーにおいしい。

毎日通って飽きないかって?
それがメニューはほとんど毎日変わる。



その日に一番おいしい食材を、一番おいしく料理して食べさせてくれるんだよね。
本当においしいんだよ。

料理ってそれが一番おいしいと、僕は思うよ。
レストランじゃなくて、「おいしい料理を食べさせる店」
そういうことだと思うんだ。

そのことをわかっている人たちが、世界中から、この店のおじいちゃんの料理を食べに来ていたよ。
地元の人だけでなく、他の都市や国からも。しかも、予約はとらない。

だから、お店にいって、並ぶの。
僕もYiさんも毎日並びました。

毎日通うから、そのうちに、おじいちゃんが覚えてくれてね。
僕が何かを頼まなくても、おいしいものが次々出てくる(笑)
でも、それはうれしかったなあ。

いいなあって思ったし、僕は、Yiさんに言ったんだ。
今回のミラノの旅は、世界大会に来ることもよかったけど、この店の味を体験することの方が、大切だったかもねって。
この味を体験するために、来たと思うよって。

彼女は、優勝できなくて、悔しかったと思うけれど
いや、Yiさんは、今できることをちゃんと出し切って、がんばったし、そのことを誇りに思っている。
今でも彼女のつくる料理はおいしいと思うけれど、
僕から見ると、まだ彼女の料理は、レストランの味なんだ。

レストランのシェフなんだから、レストランの味がいいんじゃないかって?

僕は、レストランの味のその先にある、人も食材も幸せにするおいしいものがつくれること。
そのことの方が、優勝することより、料理人として尊いと思うんだよ。
僕はそのことを大切にしてほしいと思っている。

そのことを今回ミラノに一緒にくることで、僕は、Yiさんに伝えることができてよかったなって思った。
僕もおじいちゃんのお店に出会えてよかった。

いい旅でした。
旅はいいね。


おいしいものを求めて、 TOYO TABIは続く・・・