=新連載=パティシエ SHOKO HIRASEの視点【第1回】かき氷をデザートとしてとらえる
Chef’sアドバイスの3名、中山シェフ、大森シェフ、平瀬パティシエの3名の
毎回素敵なレシピを連載させていただきましたが、
こちらも、今回から新連載がスタートします!
食のプロの個性を、世界観をもっと前面にだして
3名の「素敵」をもっと皆さんにお伝えしたい。そんな気持ちで
始まる新連載です。3名が一緒に何かすることもあるかも💗
今回は、平瀬パティシエの新連載「パティシエ SHOKO HIRASEの視点」です。
ミシュラン一つ星レストランRestaurant L'aube(レストラン ローブ)」のパティシエでもあり、金沢にも昨年Pâtisserie L’aube 花鏡庵をオープンされ、アーティスティックでオーセンティックなスイーツをつくっている平瀬パティシエ。
1年半近く、取材させていただき、お話を伺うにつれ、
平瀬パティシエの食材に対する探求心や愛、食材の組み合わせ、アートなまでの
繊細で大胆な作品(スイーツを超えて、もはや作品!)のその裏に秘めた
発想や想い、日頃考えていることなど、もっと聞いていきたいな。
そんな想いからの新連載です。
早速スタートします!
第1回は、「かき氷をデザートとしてとらえる」
季節は、「大暑」
連日、真夏日が続いていますね。
おうちでも、出先でもかき氷食べる人は多いのではないでしょうか。
平瀬パティシエのお店、金沢「花鏡庵」でも、この夏は
カフェメニューがなんと!かき氷いっぱいになるのだとか。
この夏は、かき氷で吹っ切っていこうかなと思って
と、平瀬パティシエの元気な声が。
今までも、レストランのデザートでかき氷をだしたことがあったそう。
でも、こんなにたくさんレシピをつくったのは初めてとか。
かき氷って、デザートしてはあまり食べないですよね。
量も多いし、個性が出しにくいし。
でも「花鏡庵」ができて、しかもこんなに暑い夏。
デザート屋がつくるかき氷つくってみようかなって思いました。
レシピ作りをするときにどんな視点で考えたのですか?
かき氷って考えないで、どこまでもデザート。
いつもの自分のデザートの延長なのと、大人でも楽しめるかき氷かな。
この夏、花鏡庵に並ぶかき氷は、全部で5種類。
1つめ
ペールグリーンのシャーベットが、5種のハーブのジェラート
かき氷のシロップは、柑橘と金沢のクラフトジンをつかった大人の味。
かき氷だけでなく、ナタデココも入って、食感も楽しく。氷の上には柑橘の皮を散らして
香りもさわやかです
いつもデザートには、ほとんど乳製品が入るのですが、乳製品をつかわないでつくってみました
2つめ
赤ワインを使って作ったチェリーのコンポートと、そのシロップで。
チェリーのコンポートのそばに見えるのが、ライチのジュレと、
ロゼのわらびもち!ジェラートはバラ。
チェリーにライチにバラ💗
うっとりするような組み合わせですね。
これはもうすぐ終了で、このあとは桃にかわるそうです
はい、次々行きますよー
3つめ
パイナップルとバジルのシロップに、白いシロップは
練乳とヨーグルトのシロップを追い掛け。
かき氷の中には、ココナッツのジェラートが隠れているそうです
夏らしい1品💗
これ、本当においしいんですよ
平瀬パティシエは、一番気に入っているかき氷だそう。
4つめ
メロンのかき氷。
一見シンプルなんですが、ここに平瀬パティシエの視点が。
メロンのデザートをつくるときのピュレや、ジュースの糖度と、かき氷のシロップの糖度をかえているんですよ。
かき氷は、そのほとんどが氷なので、ある程度の甘みを必要とします。
そのときに単にシロップを甘くしたら、特にメロンをつかうのに、シロップの甘みが前面にでてきたら、メロンの風味が薄れてしまう。
だから、まずメロンを追熟させて甘みを引き出します。熟し過ぎと思うくらいにすると
メロンの果汁そのものがたっぷりになって、その甘さでシロップにします。
そうすると、メロンの風味がそのままに甘いシロップができあがる。
原価、高くなっちゃうんですけどね(笑)
そして、かき氷の中には、雪塩のジェラート。
さらに、氷の上にも塩をパラパラと。
甘みをもう少し欲しいなと思った時、塩をいれるじゃないですか。
例えば、西瓜に塩ふって食べるとか。お汁粉をつくるとき、仕上げに少し塩をいれるとか。
そんな発想です。
あと、かき氷を食べたいときって、暑いですよね。
汗いっぱいかいているじゃないですか。
塩分もとったらいいかなと思って。
さすがです✨
レストランでもこのメロンのかき氷は出したことがあります。
その時は、じゅんさいとあわせてお出ししました。
じゅんさいにメロン???
どんな一皿だったんでしょうね。食べてみたい・・・。
5つめ
最後の一つは、王道のかき氷。
そして、金沢の特産品をふんだんにつかった一品
加賀棒茶とほうじ茶のシロップに、能登大納言のあんこ。
アイスクリームは、スペキュロスの入ったアイスクリーム。
スペキュロスは、ヨーロッパで食べられるスパイスがたっぷり効いたクッキー。
胡椒、ナツメグ、カルダモン、シナモン・・・など。
スペキュラース - Wikipedia(ウイキペディアより)
ほうじ茶の香ばしいシロップと、スパイスの香り、あいそうですね。
白玉団子ものっています。
これは、甘味が食べたい人にぜひおすすめです。
文句なくおいしいですよ。
ところで、氷にもこだわりあったりしますか?と聞いてみると。
はい。
金沢のクラモト氷業さんの氷をつかっています。
クラモト氷業さんは、大正12年創業の老舗の氷屋さん。
こちらの氷で削るとふわふわになるんですよ。
スタッフみんなで、氷の削り方の研修を受けたんですが、
意外なことに、氷が溶けかかったくらいで削ると、さらにふわふわになるんです。
おいしいですよ❤
ここにも平瀬パティシエの視点が✨
この夏、お盆明けくらいまでは、
このこだわりのかき氷が食べられます。
ぜひ、金沢にお越しのさいは、いらしてください。
https://www.instagram.com/patisserie_laube/
秋風が吹いたなあと思ったら、いきなりかき氷終わっちゃうかも・・・
そんなこともポロっと口にした平瀬パティシエ。
これは急がないと!
to be continued…
次回もお楽しみに!
(文 小池美枝)