日々の小さな素敵が、幸せの種になる~mie’s art de vivre《第4回》南仏Cassis(カッシ)という街

こんにちは。薬膳料理研究家の小池美枝です。

「日々の小さな素敵が、幸せの種になる mie’s art de vivre」です。

毎日の生活の中の、わたしの好きなことをピックアップしたコラムです。

 

今回は「南仏Cassis(カッシ)という街」

旅はお好きですか?

わたしは、30代、40代と毎年クリスマス前に、一人旅をしていました。

だいたい10日間くらい。パリを拠点に、フランスが多かったけれど、時々他の国にも。

ワインが好きなので、ワイナリー巡りもいろいろとしました。

ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ、ピレネー山脈付近の小さな町のもの

そして南仏。

南仏は、山側、海側いろいろな街があって、村のようなところもあって

それぞれが、本当に個性的で、街の色遣いも様々。

共通しているのは、自然豊かであることや、食材が新鮮でおいしい、

人がおおらか・・・。

 

そんな中で思い出深い街の一つが、Cassis

果物のカシスと同じスペルなんですが、カッシと皆さん呼んでいました。

 

なぜ、ここに行こうと思ったか?

きっかけは、1冊の本。

戸塚真弓さんという長年フランスに住んでいらっしゃる作家さんで、

彼女の著書はほとんどといっていいくらい読んでいますが、

彼女のフランスでの日々の生活や、彼女の旅が、当時とっても憧れでした。

写真の「パリからのおいしい旅」という本の中に

Cassisについて書かれていたのが、Cassisのワインと生ウニ💗



Cassisには、当時13のワイナリーがあって(今は変わっているかもしれません)

そのほとんどが、Cassisとその周辺の街で消費されて、パリにもほとんど出回っていないらしい。

そして、地元の人は、これまたパリではほとんど見かけない殻付きのウニと一緒に舌鼓をうつと知って、

それは飲みに行くしかない!!と思い、旅の計画をしました。

戸塚さんの著書には、

「プロヴァンス出身のノーベル賞作家のミストラルは、カッシの白ワインにロマラン(ローズマリー)、ブリュイエール(ヒース)、ミルテ(銀梅花)が香ると言った。いずれもプロヴァンスの岩山に育つ植物である。私にとっては、いちばんプロヴァンスを感じさせるワインだ」 引用『パリからのおいしい旅』戸塚真弓著

とある。プロヴァンス大好きなわたしとしては、フランスワイン大好きなわたしとしては、心躍るセンテンス (笑)

Cassisの白ワインを求めて、一人旅をしたのでした。

 

また、同じ著書の中に、いちばんおいしいワインと思うのが

「クロ サン マジョレーヌ(Clos Sainte Magdeleine)」という銘柄ということも書いてありました。

この時の旅では、Cassisに3泊4日したので、のんびりと

毎食(朝・昼・晩!)違う銘柄のカッシの白ワインを1つずつ飲んでいく

という楽しい時間を過ごし、私もクロ サン マジョレーヌがいちばんおいしいなあと思いました。

 

3日目だったと思いますが、そうだ、ワイナリーに行ってみようと思い、

地図でワイナリーの場所を探し、歩いて行ってみることに。

中心部のにぎやかな港から、山の上をどんどん歩いていくと

右手にクロ サン マジョレーヌのワイナリーはありました。

アポイントもとっていないので、果たして見せていただけるだろうか?

と思いましたが、せっかく来たのだからとノックすると

若いお兄さんが出てきてくれました。

 

戸塚さんの本を持ってきていたので、それを見せて、

ここにこちらのワインのことが書いてあって、日本から飲みに来たのだけれど、よかったらブドウ畑を見せてもらえませんか?と、お願いすると、

快くどうぞ入ってくださいと、中に入れていただきました。

中に入ると、ブドウ畑のその先には、一面の海。

湖が見えるワイナリーは、スイスのレマン湖周辺にあるけれど、

海が見えるワイナリーは、わたしは初めて。

海が見えるワイナリー、なんて素敵なんでしょう💗

景色に見惚れていると、よかったら試飲していきませんか?

という、贅沢なホスピタリティに預かり、試飲室に。

単独のワイナリーなので、いろいろなワインの銘柄はないので、

年度別のクロ サン マジョレーヌを試飲させていただき、ワインについて丁寧に説明してくださいました。

図々しくも、購入させていただくことはできますか?

と、お聞きすると、もちろん!と。

3本購入させていただき、とっても素敵な、貴重な時間を過ごさせていただき、登ってきた山道を歩いて降りたのでした。

 

ここで、Cassisの風景をご紹介します。


海は静かな入り江になっています。冬なのでさすがに泳いでいる人はまばら(数人はいたんです!)



中心地には、レストランやホテルが集まっていて、観光客というよりは、地元の人、フランス国内の人という感じののんびりとした時間が流れています。



小道を歩くと、こんな感じ。いかにも南仏❤ヨーロッパの街並みは、街の色遣いが本当に素敵です。



クリスマス前に行ったので、いたるところにサンタさんが可愛くディスプレイ。

 

下の写真は、この時に泊まった海正面のホテル。


7室しかない小さな家族経営のホテルでしたが、レストランは『ゴ・エ・ミヨ(Gault & Millau)』(※フランスのレストランガイド)にもでているおいしいところ。

朝は、バルコニーで海を眺めながら、夜は、おいしいプロヴァンスのお料理をいただきました。

一人旅だったこともあり、毎晩夕食の時には家族の人と仲良く、わたしは南仏のことをお聞きし、彼らには日本のことをお話し・・・いい経験をしました。

チェックアウトのときには、全員とハグして、今度来たときは、「おかえり!」って迎えるからねと、言っていただき、お互いでウルウルしてしまいました。

 

最後の2枚は、カナイユ岬。


岩場がごつごつしていて、でも陽の光をあびるととっても荘厳できれい。

昔は、マフィアの決闘場所だったのよと、地元の人に聞きました。

 

下の写真は、わたしが10年間住んだ稲村ケ崎の岬。

似ていませんか?

実は、初めてCassisに行ったあと、稲村ケ崎の物件に出会い、住むことに。

稲村ケ崎のこの場所も、鎌倉時代の武士たちの戦いの場所。

なんだか不思議な縁を感じました。

 

Cassisは、パリからだと飛行機でマルセイユまで約1時間。

マルセイユから電車に乗って約1時間の小さな街です。

ちなみに、初めて行った時のCassisの街は、無人駅で、駅を降りて

誰もいなくて、タクシーもバスもなく(携帯もなく!)、ホテルまで約2キロをどうしましょう?と途方に暮れているところを、

駅にご家族を迎えに来ていたマダムが、ホテルまで送ってくださったというエピソードも。

そんなとっても温かい街でした。

機会があったら、ぜひいらしてみてください。

 

今回、登場した白ワイン「クロ サン マジョレーヌ(Clos Sainte Magdeleine)」は、

今は日本でも購入可能です。

 

皆さんの「今日」は小さな素敵、ありましたか?

日々の小さな素敵が、幸せの種になりますよ💗

A bien-tot! Mie