薬膳〈肌美人〉第9膳 梨と白木耳、葛きりの秋の薬膳冷麺(レシピ/作り方)
暦の上では、秋になりましたね。
今年は、とても暑いのでまだまだ残暑厳しくなりそうですが、
自然も身体も秋の準備をはじめています。
秋に一番気をつけたいことは、燥邪=乾燥です
一番乾燥の影響を受けるのが、肺。肺が乾燥すると、咳が出たり、鼻が乾いて
鼻血が出たり、喉がイガイガしたり・・・。
中医学では、「肺」と関係する臓腑は、喉、鼻、大腸、皮膚・・・などなので
それらの臓器にも影響が出てきます。大腸だと便秘にもなりますし、
皮膚といえば、お肌。お肌もカサカサになりやすくなります。
そこで、今回は「肌美人」。秋の養生の一つ、肺を潤して、身体の中からお肌をつややかに
していきましょう。
肺や、身体を潤すフルーツの筆頭は、梨。
幸水、豊水、二十世紀、洋ナシも含めると、たくさん種類がありますね.
渇きを潤す。という点でいうと、和梨の方が効能は高いかもしれません。
梨の薬膳的な効能は、「生津」「潤肺」「清熱」「化痰」「止咳」「潤膚」
身体の中の熱を冷ましつつ、肺や皮膚に潤いを与えてくれる
まだ暑いこの時期にぴったりのフルーツです。
これに、美肌と言えばこれ!というくらい、薬膳では美肌の薬膳料理に
よくつかう食材が、白木耳。
その2つの秋にぴったりの食材に葛根湯でおなじみの葛をつかった
葛きりを麺としてつかった冷麺をつくりましょう。
葛は、身体の渇きを補い、他に首の後ろのハリ(コリ)も楽にしてくれます。
葛きりは、買う時に表示をみて、ちゃんと「葛」が入っているもの
できれば葛100%のものをお求めください。
でんぷんだけでつくられている葛きりは、この効能はないので、注意してくださいね。
さて、焼肉屋さんの〆は、冷麺という方も多いのではないでしょうか。
その冷麺をちょっと秋の薬膳風につくります。
今回はかつおだしと鶏ガラスープでスープにして、そのスープの一部をつかって
梨と白木耳をとろっと煮て具材にします。
他には、冷麺にいつも入っているゆで卵。キムチ。
卵も身体全体の潤いを与えてくれる食材なので、お肌にはいいですね。
キムチも発酵食品なのでおすすめ。
薬味には、寒さによる風邪を予防してくれる紫蘇と、肺を潤してくれる松の実を。
余談ですが、韓国のキムチや焼き肉のつけダレには、梨のすりおろしが入っていることが多いのをご存知ですか?
韓国にも薬膳が食生活に取り入れられていますが、その薬膳の陰陽バランスで、梨がつかわれています。
お肉を柔らかくするという効果もありますが、牛肉やキムチにつかうたっぷりの唐辛子は身体をあたためてくれますが、陰陽バランスでいうと、「陽」が多くなります。
熱くなりすぎると、身体が乾燥したり、熱が上にあがって、のぼせたようになったりするので、そのバランスをとるために、梨がよくつかわれます。
梨は、先程もお話したように、身体の中の熱を冷まし、乾燥を防いでくれるからで、
韓国では、梨のジュースもよく飲みますよね。
キムチは、同様の理由から「桔梗」がつかわれることもあります。
桔梗も喉の痛みをとったり、風邪予防につかわれる生薬の1つで、漢方にも
つかわれています。
日常の食事にも、薬膳や漢方は根づいていますね。
さて、本題に戻ります。
かつおだしに、鶏ガラスープと、少し酢が効いていて、さっぱりと。
葛きりの麺がのど越しよく、ツルツルと。梨のシャキシャキと、白木耳のトロトロが
ちょっと夏バテ気味のお腹にすーーとおさまっていきます。
梨と白木耳は、食材が余ったら氷砂糖で甘く煮て、杏仁豆腐とあわせても、
秋の薬膳デザートになりますので、夏休みにぜひつくってみてください。
<材料 4人分>
梨 2個
白木耳 10g(乾燥時)
葛きり 150-200g(乾燥時)
ゆで卵 2個(4個でもよい)
青紫蘇 10枚くらい
松の実 大さじ1-2(好みで)
キムチ 適量(市販品)
糸唐辛子(飾り)なくてもよい
かつおだし 1ℓ(水1ℓに、かつおぶし20gくらいで出汁をとる)
鶏ガラスープの素 小さじ2
酢 大さじ1-2(好みで)
<作り方>
- 鍋に水1リットルをいれ、沸騰したらかつおぶしを一気にいれて、
火を止めて、10分くらい置いてから、濾す。
- 1に、鶏ガラスープの素を入れ、溶けたら酢を入れて、冷蔵庫で冷やしておく
- 白木耳は、水にふやかしておく。
- 梨は、1個は小口切りにし、もう1個は、薄いくし切りにする
- 白木耳と、小口切りにした梨を小鍋に入れ、2のスープ150㏄くらいで柔らかくなるまで煮る。
- 鍋に水をいれ、沸騰したら、葛きりを入れ5分くらい、透明になるまで茹でて、冷水にひたしておく
- 青紫蘇は、千切りにし、卵はゆで卵にしておく。
- 器に、葛きり、白木耳と梨を煮たもの、青紫蘇、ゆで卵、くし切りの梨、松の実、キムチを盛り付け、冷蔵庫に冷やしておいたスープをかける。
お肌の乾燥にもよいし、プルプルにもなりますよ。
ぜひ、一度つくってみてください