scene4:くるみごはん/自身と向き合う『リトル・フォレスト』。
映画に出てくる食事シーン。
見終わったあとには、なんだか無性に食べたくなったり、
そのメニューを見ると、なんとなくシーンがよみがえる。
そんな心に残るメニューがみなさんにもあるんじゃないでしょうか?
映画に出てくるそんなメニューを作ってみたり、食べてみたり。
名画のワンシーンからよみがえる、そんなちょっと素敵なメニューをご紹介します。
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都会から少し離れたところに、古びた家を安く買って、自分たちでリノベーションをしながら、仕事はPCひとつでリモート勤務。
田舎で自給自足とか、古民家を自分でリノベしたりとか、DIYとか。。
前から流行ってはいたけど、リモートで働く働き方が定着してからなのか、テレビでもよく見るようになりましたね。
ちょっと憧れるけど、田舎生まれのわたしからしたら不思議に思ってしまうんですよね、、、
虫がとにかく多いこととか、夜になるとお店がやってないこととか、おしゃれなカフェもなければ、そもそも車がないとどこにも行けないこと。
都会の方が便利だし虫も少ないのに、どうしてその不便さやらを自ら選択するのか、わたしにはちょっと分からないところもあるんですよね。。
今はわたしが生まれ育った地元も、都市化が進んでおしゃれなカフェ(?)はようやくできたけど、やっぱり夜はどこもやってないし、とにかく虫は多すぎる。
さて、そんなわたしの地元よりももっとずっと北にある、岩手県奥州市。
そこを舞台にした映画「リトル・フォレスト」。
©「リトル・フォレスト」製作委員会
出典:リトル・フォレスト 夏・秋(2014年)|映画|松竹メディア事業部
のどかな大自然に囲まれた小さな集落で暮らす女の子のお話。
原作の漫画は読んだことがあったのですが、映画を見るのは初めてで、どんな感じになっているのかとても楽しみでした。
ちなみにわたしが一番好きな漫画が何年か前に実写化されたときは、決まった瞬間ちょっとわくわくしましたね。どんな感じになるんだろう、と。映画館へうきうきして見に行きましたが・・・実写化って難しいんだなぁ。って思いました。
さて、この映画の見どころはなんといっても主人公が作る美味しそうな料理の数々…
春・夏・秋・冬の四部作になっていて、それぞれの季節に合わせての農作業~料理までがたくさん出てきます。
春は山菜を取り、夏はイワナやトマト、秋はお米(田植えや稲刈りもします)やお芋、冬にはお餅までつきます。
実際に季節を追いながら約1年をかけて撮影したらしく、奥州市の素敵な風景や、作物が実っている様子はリアリティがあってとても美しいですよ。
原作の五十嵐大介先生が実際に体験した自給自足の生活を元に 描いているそうなので、その描写もとてもリアルで、映画だけでなく漫画も繊細な表現がおもしろいです。
その中で今回は、《秋編》で主人公が作っていた『くるみごはん』を実際に作ってみることにしました。
稲刈りの途中で食べる「くるみごはんのおにぎり」がなんとも素朴で美味しそう。。
作り方はとても簡単でした!
①くるみをつぶす
映画の中では殻を割るところから作りますが、わたしは市販の剥いてあるくるみを使用…。
袋に入れて適当なものでとにかくつぶしていきます。
薄い袋だと破けます、、
もう少し厚い袋に入れ替えてとにかくたたきます。
②お米と一緒に炊く
原作ではくるみをペースト状にしていますが、わたしはくるみの食感が残るように少し粗めに砕いたものを使用しました。
醤油とお酒で軽く味付けして、炊飯していきます。
▲土鍋でじっくり炊いていきます
※うちは土鍋しかないので、土鍋ごはんにしていますが、もちろん炊飯器で作れますし、その方が圧倒的に楽です。今さらながら炊飯器欲しいです。
さて、ここから中火~弱火でとにかく待つ。
ふつふつと沸騰してきたら、弱火にしてさらに待つ。
10分ほど経ったら、蓋を開けて中を確認。
火を止めて、さらにそこから10分くらい蒸します。←ここが重要
その後、やっと蓋を開けてみると…
▲醤油とくるみの甘い香りが漂います♪
下の方には軽いおこげもできています。
写真だとちょっと伝わりにくいかもしれませんが、香りも見た目も最高に食欲をそそられます。
お味噌汁とお漬物と、焼き魚と。
本当は和食セットにしたかったところですが、味噌の賞味期限は切れているし、お漬物はキムチしかない。
買ったばかりのお肉は夕飯用のため、、
▲色味が全然映えませんね。。
ここはシンプルにおにぎりにしていただきました。
焼いた醤油の香ばしさと、ほんのりと香るくるみの甘さが思った以上に合う!
ちなみにこのまま食べても美味しかったですが、ここに粗びきコショウをかけるとさらにとっても美味しかったです!←母親の知恵
お酒(料理)好きのいとこからも、「白ワインに合わせても美味しそう!」
とのアドバイスをもらったのですが残念ながら白ワインがなく、断念。。
次はお酒に合わせていただくのもありですね。
季節の美しさや、料理についつい目が行きがちな作品ですが、主人公や周りの人たちの抱えている葛藤や思いというのもきちんとストーリーがあっておもしろいんですよ。
実は田舎が嫌で上京したわたしですが、自分の生活をリセットするために、この作品に出てくる主人公と同じく一度田舎に戻ったことがあります。
リセットというからにはまた都会に戻ってきたわけですが、大人になってから改めて住んでみると田舎も悪くなかったなぁ、なんて思ったりもします。
コンビニまで行くのにわざわざ車が必要だったりするし、夜は真っ暗でお店もやっていないし、都会では見かけないくらいの大きなムカデもヤモリも出てくるけど、
畑の真ん中に全然映えないけど美味しいジェラートのお店があったり、地元で取れた作物をふんだんに使ったメニューが並ぶカフェがあったり、何もないからこそ、自分自身を見つめる時間があったり。
いろいろなものが溢れている都会の暮らしももちろん楽しいけど、そんなゆっくりした時間を過ごせる田舎があるというのもありがたいことですよね。
不便さはあるけど、大自然があって、ゆったりとした時間がある。
そんな温かさを求めてなのか、きっと都会から少し離れたところに住みたい、と思ってくれている人が増えているのかもしれないですね。
ぜひみなさんも、「くるみごはん」を片手に自分自身と向き合う時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
わたしも今度実家に帰ったときには、家族に《くるみごはん》をふるまいたいと思います。
きっとその頃には寒くて虫もいないだろうから、外で食べるのもまたいいかもしれないですね。
(店長)